今大会は複数の右腕トリオが登板したが、軸となるのが背番号18の清藤。威力のある直球を主体に勝負球のスライダーの切れ味が鋭く、狙って三振が取れる本格派だ。初戦から毎試合のように登板し三振の山を築くなど安定感が抜群だ。同じ24歳の高山も今秋、急成長した。清藤とほぼ同タイプの投手で連打を浴びない粘り強さが持ち味。安定感でも清藤と遜色がない。この2人の右腕を押しのけ準決勝で登板したのがベテランエースの宇田川。立ち上がりの出来が心配されたが、うまく乗り切り完封。見事に復活を果たした。その他、左腕の好投手桜井も控えており、投手陣の層は厚い。
▲層の厚い投手陣の核となる本格派・清藤(左)とベテラン宇田川
 連打で一気にたたみかけたり、スクイズで確実に1点を積み重ねたりと、試合の流れに応じて多彩な攻撃ができる。先頭の主将・伊藤が思い切りのいいスイングで突破口を開き、2番芳中が器用な打撃でつなぐ。センス抜群の3番増田、佐川千葉屈指の長距離砲の4番和多田、チャンスに強い大澤と続く中軸は破壊力十分。特に大澤は、佐川千葉に待望久しい左のスラッガーとして今大会大活躍を見せた。優勝戦でも注目の強打者の一人に挙がるだろう。下位打線も犠打など小技に長け、機動力を駆使した効率の良い攻めを得意とする。今大会でもここぞという場面で機動力を駆使し勝ち上がってきた。土井監督は、「毎回1点取ること」を目標に掲げ、選手の意識に定着させた。相手に応じて、試合ごとにオーダーを組み替えられる柔軟さもあり、選手層の厚さを感じさせる。
▲野球センスあふれる芳中(左)と勝負強い左のスラッガー大澤


 例年以上に投打とも粘り強さがある。今回、史上初となる3度目の優勝がかかる佐川急便千葉。それに関して土井監督は、「V3はあまり意識していませんが、まだどのチームも達成していないという点で魅力です」と話す。今大会の快進撃を支えた特徴の一つとして、バッテリーの強化が挙げられる。これは、横浜高校時代3度甲子園に出場するなど経験豊富な若杉捕手が加わったことが大きい。若杉は抜群のインサイドワークと地肩の強さでチームを牽引。バラエティーにとんだ右腕トリオを見事にリードしている。また、2年前の準優勝時から部員数も増え、レギュラーも数人入れ替わった。新メンバーも加わり、それぞれが切磋琢磨しながらナインはアークカップ3度目の頂点を目指している。
▲あと一つ・・・ V3の偉業達成へいよいよ王手をかけた