今大会は、藤本、後上の両右腕を柱に3投手が継投した。藤本、後上の2人のうちどちらかが先発して抑えのエース虎見(拓)につなぐパターンが多かった。藤本は182cmの長身から長い腕をしならせ、球威のある直球と切れ味鋭いスライダーやナチュラルシュートを操り、本塁プレートを幅広く使う。対照的に後上はスライダー、カーブを中心に打たせて取るタイプ。また抑えの虎見(拓)は今大会、主にピンチの場面から登場することが多かったが、威力のある直球を武器に丁寧に低めにボールを集め、勝負どころで強気に内角を突く投球で毎試合のように好リリーフを見せてきた。この3投手が今春は適材適所の働きを見せている。東京ドームでもこの継投のタイミングが勝負のカギを握るだろう。
▲3投手の継投が勝利への生命線(左から後上・虎見(拓)・藤本)
 先制されても慌てず取り返す。今春の快進撃の原動力となったのは、勝負強い打線だ。目を見張るような大砲はいないものの、つなぐ打線の意識を徹底した結果、ここまでの7試合で1試合平均6点以上を奪う得点力の高さで、優勝戦まで勝ち上がってきた。中心は3番の主将・虎見(一)。準々決勝では同点打と逆転打を一人で放ち、準決勝でも同点ホームランを打つなど、抜群の勝負強さでここまでチームを牽引してきた。東京ドームでも勝敗のカギを握る一人になるだろう。また、不動の4番・大坪と5番の岩田はシュアな打撃が光り、チャンスで畳み掛ける攻撃が持ち味。さらに9番ながら準決勝で決勝点となるソロ本塁打を放った武田はパンチ力のある好打者。優勝戦でも活躍が期待される一人だ。
▲結成以来不動の4番・大坪(左)と3回戦のサヨナラ男・米谷
 今春は打線が例年以上に爆発して勝ち進んだが、本来チームが目指すスタイルは「守り勝つ野球」。大坂、虎見(一)の二遊間や中堅・佐藤らセンターラインは、広い守備範囲を誇る。また今春の快進撃を支えた3人の右腕の出来にも注目。優勝戦でも継投を含めた投手起用がポイントになりそうだ。また打線も今大会しぶとさを発揮した。とくに3回戦のKEIYO戦では1点差を追う最終回2死から追いつき、一気にサヨナラ勝ちの劇的勝利につなげた。この勝利がチームに勢いをもたらしたのは間違いない。井川監督は、「飛び抜けた選手はいないが、全員でよく打ち、よく守れるバランスの取れたチーム」と話す。今回初めてとなる東京ドームの大舞台でも普段どおりの平常心で臨めば活路が開けるだろう。
▲念願のドーム進出に意気あがるナイン 有終の美を飾れるか