エース格は184aの長身右腕の阿部。今シーズンは防御率0点台と安定した投球で、既に練習試合を含め8勝を挙げるなど好調を維持している。落ち着いたマウンドさばきを見せ、スタミナも申し分ない。ただ、今大会は序盤にピンチを迎える場面がやや多いのが気がかり。そんな時、試合の流れを変えるべく登板するのは主軸も打つ遊撃手の割田。リリーフエースの筆頭である割田は、コントロールに安定感がある好投手。ゲームを作るのがうまく、マウンド度胸十分と味のある投球を見せる。東京ドームでも先発が予想される阿部から、どのようなタイミングでこの割田につなぐかがポイントになるだろう。この2枚に今大会は故障のためいまだ出番はないが力のある吉川らが加われば、磐石な投手陣が完成する。
▲継投のタイミングが勝負のカギを握る(左:阿部、右:割田)
 さほど破壊力は感じさせないが、ここ一番で一気に畳み掛ける攻撃には目を見張るものがある。キーマンはここでも3番の割田と投手ながら6番を打つ阿部。主将・割田は懐の深い打撃で対応力に優れている。5回戦では先制の起点となる3塁打を放つなど、打率が5割を超える打撃センスが光る。また、6番の阿部は今大会は打の方でもラッキーボーイ的な活躍を見せている。準々決勝のウィルス戦では2塁打と3塁打の2本の長打を放ち、大量得点の中心的役割を果たしたかと思えば、準決勝のFs戦でも劣勢の試合の流れを変えるタイムリーを放つなど勝負強さはピカイチ。また上位だけではなく下位にも、浅香や衣笠ら力のある打者がいるのもDELTAの特徴。打順に関係なく、つなぐ攻撃が持ち味だ。
▲一度つながり出すと止まらない打線(左から吉野・河島・家倉)
 今大会は初戦から1点差ゲームになるなど緊迫とした試合が多く、接戦に強いのが最大の持ち味だ。特に、試合終盤の粘り強さには目を見張る。なかでも東京ドーム出場がかかった準決勝のFs戦。1点差で迎えた最後の攻撃。3本の長短打と相手エラー、犠牲フライを絡めて一挙に5点を奪い大逆転勝利。「あきらめない気持ち」を前面に押し出した勝利で周囲に感動を与えた。登録選手中、とくに大物と呼べる選手は少ないが、確実性のあるバッティングで好機を生かすのが特徴。また、選手のほとんどが世田谷学園出身ということもありチームワークは抜群。この傑出したチームワークによる一丸野球が勝利への「援護射撃」になりそうな予感が漂う。初優勝へ−。東京ドームの大舞台を今から心待ちにしている。
▲初出場初優勝の偉業達成で、歴史に名を刻むことができるか