6月6日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7
F s (立川市) 0 0 0 0 0 0 0 0
めいぼう2号店 (船橋市) 0 0 0 0 0 2 × 2



優勝戦実況

 平成22年の春の覇者をめぐる最終決戦は、昨年夏に続き連覇を狙う強豪・Fsと悲願の初優勝を目指すめいぼう2号店による白熱した投手戦となった。


▲めいぼうの先発は、屈指の左腕・川村


▲Fsの先発は、この春大躍進した小川
 昨年、初の頂点を経験した王者・Fsは、この春も堂々の戦いぶりで大舞台に戻ってきた。ナインは、「連覇は意識せず、普段通りを心がけます」、「変に力まず、試合に集中します」と試合前にコメント。史上初の偉業達成へ向け死角なしと思わせるほど、自他ともに認める充実の戦力を揃え、チームも最高の状態に仕上がっていた。

 一方のめいぼう2号店。近年は毎回上位に顔を出す有力チームだったが、あと一歩のところで大舞台を逃し続けてきた。しかしこの春は、エース川村をバックが盛り立て初のドーム進出を達成。その優勝戦でもカギを握るのは、やはり絶対的な左腕エースの川村。この春は獅子奮迅の活躍でチームをここまで引っ張ってきた原動力であることは誰もが認めるところ。「相手はチャンピオンですし強いチームですが、守りに入らず攻めの気持ちを強く持って投げたいです」と言う川村。そして他のナインも、「東京ドームという大舞台でも飲まれることなく野球をしたい」と平常心を強調する選手が何人もいた。投打ともども、真っ向からFsにぶつかっていく挑戦者の気持ちが十分だった。

 この対称的なカラーの両チームによる優勝戦は、果たしてどんな展開になるのか。何が勝敗を分けるのか。予断を許さない期待感とともに、平成22年6月6日(日)、大一番は幕を開けた。めいぼう2号店の先発はもちろん大黒柱の川村、Fsは大方の予想通り今大会のエース格の小川と、左右の両エースの投げ合いで始まった。

 最初にチャンスを迎えたのはめいぼう2号店。1回、2死から3番の福田がレフト、センター間を破る大きな当たりの2塁打で出塁する。ここでいきなりの先取点が欲しかっためいぼう2号店だったが、続く4番の西村は芯で捕らえた痛烈な当たりを放つも、Fsのセンター都築に好補され、先制のチャンスを逃す。

 一方のFsは、めいぼう2号店の川村の巧みな投球の前に走者を出せず強力打線がまさかの沈黙。なかなかチャンスを作れなかったが、ようやく最初の得点機が訪れたのは4回。この回先頭の2番・大元が死球で出塁すると、1死後、4番・入田が放った打球は左中間フェンスを直撃する大きな2塁打。1死2・3塁と絶好の先制の好機をつかむ。ここで迎えたのは5番のスラッガーの千葉。しかし千葉は、2ボールからの3球目を積極的に打っていったが、ショートゴロ。3塁走者が本塁でタッチアウトとなり2死。さらに6番の佐々木も空振りの三振に倒れ、結局Fsは無得点。惜しい好機を逃した。

▲入田の2塁打でチャンスを広げるが・・・


▲本塁タッチアウトで惜しい先制機を逃す

 その後もFsは大きな当たりや痛烈な打球を放つが、めいぼう2号店の攻守に阻まれどうしても得点が奪えない。


▲4番西村が初球をセンターへ犠牲フライ


▲めいぼうが待望の先取点をもぎ取った
 双方0行進が続く中、試合は運命の6回の裏、めいぼう2号店の攻撃を迎える。1死後、2番の青山がフルカウントからボールをよく見極め四球で出塁。続く3番の福田はカウント1-2からの4球目をジャストミート。打球はライトの頭上をはるかに越え、一瞬スタンドインかと思われるほどの大きな当たりのフェンス上段への2塁打となる。1死2・3塁と、今度はめいぼう2号店が4回のFsとまったく同じような展開で絶好のチャンスが訪れた。ここで迎えるのは4番の西村。Fsは4回から小川をリリーフした昨年の夏のMVP投手の高桑がマウンドに上がっていた。緊迫とした場面で東京ドームに詰め掛けた観衆が固唾を呑んで見つめる中、西村は初球を迷うことなく強振。この打球がセンターに飛び、Fsのセンターの都築が懸命のバックホームを見せるも、3塁走者がタッチアップからホームイン。めいぼう2号店がついに均衡を破った。押せ押せのめいぼう2号店は、さらに続く5番・絹川も高桑の初球をこれまた強振し、左中間フェンス直撃の2塁打。この回2点目を挙げ、大きく優勝へ近づいた。

 一方、王者・Fsに残された攻撃は、あとわずかに1回。しかし先頭の期待された5番の千葉は、やや力んでファーストフライ。続く代打の廣田はフルカウントと粘ったが、川村の気迫の投球の前に空振りの三振に倒れ2死。さらに続く7番の加藤敬もセカンドゴロに倒れ試合終了。めいぼう2号店が嬉しいアークカップ初優勝を飾った。

 今回の優勝戦は、試合前の下馬評では夏春連覇を狙うFsが圧倒的に有利だと思われた。しかし、めいぼう2号店の左腕エースの川村が低目を丁寧に突く投球でFs打線を翻弄。とくに注目の1番・都築を完璧に抑えたことが勝利をグッと手繰り寄せたことは間違いない。また、打線も鋭いスイングで今大会ここまで無失点のFs強力投手陣に襲い掛かり長打を連発。とくに得点を奪った場面では、4番の西村、5番の絹川がともに初球を思いきり叩き外野に鋭い打球を飛ばすなど、積極的な姿勢が難攻不落とも言われたFs投手陣を打ち破った。めいぼう2号店はまさに投打がうまく絡み合い理想的な試合展開だった。

 一方連覇を目指した王者・Fsはこの日は打線がめいぼう2号店・川村の前にまさかの沈黙。頼りの投手陣も最後の最後に力尽き、史上初となる夏春連覇の偉業は成らなかった。

 試合後、めいぼう2号店・川見監督にアークカップが贈られ、両チームが力の限り戦った東京ドーム決戦の幕が閉じた。

▲初優勝を決め、マウンド上に歓喜の輪


▲エース川村を胴上げするめいぼうナイン


▲昨夏覇者・Fsの連覇はならなかった