11月27日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7
Big☆B (流山市) 0 0 0 0 0 0 0 0
Circus (川崎市) 0 0 1 0 0 0 × 1



優勝戦実況

 参加64チームがアークカップの頂点を目指して戦った2011年の秋。25回の節目を迎えた記念大会の優勝戦に残った2チームは、大会ナンバーワン投手の呼び声高い剛腕中須を擁するCircusと、昨年に引き続きファイナルの舞台まで勝ち上がってきた今季絶好調のBig☆Bだった。

 Circusは過去に大会を沸かせてきたピエロと岬クラブの強豪2チームの元メンバーに新メンバーを加えチームを結成。これがCircusとしては初めての優勝戦進出ながら貫録十分の戦いでここまで勝ち上がってきた。

 対するBig☆Bは、昨年に引き続き2年連続のファイナル進出。今年はマルハン大会全国制覇など様々な大会で輝かしい実績を残してきており、現在の草野球界では自他ともに認めるトップクラスのチームであることは間違いない。しかし試合前、Big☆Bの真通監督は「中須投手を打ってこそ、アークで優勝してこそ真のチャンピオンです」と言い切るように、この一戦にかける意気込みは並々ならぬものがあった。

 近年はV経験のある名門に相手が挑むという形が多かった秋の優勝戦だったが、今回は戦力、実力とも高いレベルで拮抗したチーム同士によるまさしく「両横綱の激突」となった。その結びの一番は平成23年11月27日午前10時33分、西武ドームで幕を開けた。




▲Circusの先発は、お馴染みのエース中須

▲Big☆B先発はチーム躍進の立役者・三上
 この試合の先発は、Circusは中須、Big☆Bは三上という大方の予想通りの両エースの先発で始まった。試合は序盤から互いに譲らぬ1点を争う緊迫とした投手戦となった。

 最初に走者を出したのはCircus。初回、2死から3番の進士がカウント2-3からファールで4球粘ったあと四球を選び出塁。しかし続く4番・杉山が見逃し三振に倒れ無得点に終わる。

 対するBig☆Bの最初の走者は2回。先頭打者の4番・酒井が四球で出塁。これからチャンスを広げるかと思われたが、直後に1塁走者・酒井が中須のうまい牽制に刺されチャンスの芽を摘まれる。

 結局、序盤は両エースが好投し、双方とも大きな好機を作れないまま進んで行く。

 試合はこのまま無得点が続くのではないかという空気も漂い始めたが、3回裏のCircusの攻撃時に動く。

 Circusは1死から、9番の岡野が粘って四球で出塁。ここで続く1番・田邉がフルカウントから放った打球はマウンド上の三上の足を直撃。跳ね返った打球をサードが処理し1塁に送球する間に1塁走者が2進。2死ながら2塁と先制のチャンスを作る。この好機に迎えたのは今大会絶好調の2番・善財。善財は1回戦から決勝タイムリーを放つなどここまで無類の勝負強さを見せており、Circusとしては願ってもない打者を迎えた。善財はカウント2-1からの4球目、インコースの真っすぐを強振。打球はレフト前にやや詰まりながらフラフラと舞い上がった。一瞬レフトフライかとも思われたが、これがレフトの前にポトリと落ち、この間に2塁走者の岡野がホームイン。Circusが1点を先制した。

▲好調の善財がレフト前へしぶとくタイムリー

▲2塁走者・岡野が生還し、Circusが先制

 その後は再び両エースによる激しい投手戦に戻る。Circusの中須は5回までノーヒット、5つの三振を奪う好投を見せ、当たっているBig☆B打線につけ入る隙を与えない。一方のBig☆Bの三上も5回まで被安打1、毎回の5三振を奪う好投で、1点は失ったものの素晴らしい投球が続いていた。


▲6回、先頭の三上がチーム初ヒットで出塁

▲1死3塁の好機も後続が痛恨の連続三振
 そんな中、1点を追うBig☆Bにこの試合最大のチャンスが訪れる。

 6回の表、この回の先頭の7番・三上がチーム初となるヒットをライト前に放ち無死1塁とする。続く8番・小林の2球目に三上がすかさず2盗。これが決まり無死2塁とすると、小林の内野ゴロの間に3塁へ進み、1死3塁と一打同点の絶好の好機を迎える。ここでBig☆Bは途中から9番に入った黒山のところに代打・松本を起用。しかし期待された松本は中須の速球の前に3球三振に倒れ2死。続く今大会絶好調の1番の梅田もファールで粘るがカウント2-2からの鋭いスライダーをとらえられず空振り三振に終わり、Big☆Bは同点の大きなチャンスを逸した。

 結局、続く最終回もBig☆Bは2死から相手悪送球で走者を1塁に出したが、最後は5番・真通がサードファールフライに倒れゲームセット。Circusが3回に挙げた1点を守りきり、うれしい初優勝を飾った。

 試合後の閉会式ではCircusの杉山監督にアークカップが贈られ、第25回を迎えた記念大会の熱戦の幕が下ろされた。

 初優勝したCircusは、メンバーの半数以上がこれまで大会でも上位進出の常連だった岬クラブとピエロの強豪2チームに在籍していた。前チームの実績から結成当初よりいきなり優勝候補に挙げられ続けていたが、ここまでは結果が残せなかった。そんな中で今大会は過去の実績を一度忘れ、全員で一体感を持って臨んだ結果、優勝という最高の成績を収めた。平均年齢こそやや高いが、本日の優勝戦でも勢いがあるBig☆Bの強力打線を力でねじ伏せた絶対的なエース中須がいまだ健在など、まだまだ大会の中心となっていく存在であることがこの日きちんと証明された。
▲最後の打者を打ち取り、Circusが初V


▲またしても栄冠にはあと一歩届かなかった
  一方で惜しくも敗れたBig☆Bは、昨年に引き続き2年連続の準優勝。「前回はあれよあれよという間のドームでしたが、今回は狙ってつかんだドームです」と真通監督が話す通り、安定感のあるエース三上を得点力の高い打線が支える形で昨年よりさらにパワーアップした素晴らしいチームに成長していた。今年は他の様々な大会でも常に上位の成績を残しており、年齢的な面からみても「Big☆B時代の到来」を告げた年と言ってもいいだろう。そして残る目標は、いまだ手にしていないアークカップでの初優勝。そう遠くないうちの達成をもはや誰もが疑わないだろう。