力強い速球を持ち、大会でもbPの呼び声高い左腕・森が大黒柱。均整の取れた体から投げ込む速球は球速以上にキレがあり、並みの打者では容易に手が出ない。その速球にカウント球、決め球ともに使えるスライダーとのコンビネーションで多くの三振を奪う。投手として最高峰のレベルにいる森だが、唯一の課題はコントロール。今大会も一度制球を乱すと四死球が止まらない場面がたびたび見られた。結果的にはピンチを最少失点に抑えることも多いが、優勝戦の大一番でそのマウンドさばきに注目が集まる。準決勝で先発した丸山は鳴門工時代、甲子園で準優勝に輝いた実績を持つ。制球が抜群で、テンポの良い投球は当時を彷彿させるものがある。また、抑えの鈴木は気迫あふれるピッチングで相手をねじ伏せる頼れる守護神だ。
▲個性溢れる投手陣はいずれ劣らぬ実力派揃い(左から森、鈴木、丸山)


 今大会1試合平均5点を叩き出した重量打線を、相手投手が抑え込むのは至難の業だ。主に4番を打つ若林は、豪快なスイングで長打を連発する屈指の大砲。3番の山崎は高校時代から強打で注目されてきた頼れるスラッガー。5番・穴久保はチャンスに滅法強く、監督兼任の2番・上野もしぶとい打撃でチームを牽引するなど、看板の打線は力のある打者が多く揃う。また、強打者が多い59’s打線だが、攻撃は強打一辺倒だけではない。好機と見るやエンドランで巧みに点数を奪うなど、緻密に得点を重ねる幅広いバリエーションを持っている。これはチーム結成当初、好選手を揃えながらなかなか得点出来なかった反省から、軟式野球を研究し築いた戦術だ。以後得点力が格段にアップし、打線がさらに厚みを増した。
▲“振れる打線”は圧倒的な爆発力を秘める(左から山崎、若林、穴久保)


 横浜、習志野、日大三、二松学舎など59’sナインの出身高校は野球名門校の名前がズラリと並ぶ。しかもナインは単に強豪高校を卒業したというだけではなく、その多くが甲子園でも大活躍した面々が揃っており、まさに『スター軍団』と呼ぶにふさわしい陣容となっている。またチーム名が示す通り、59’sは主に昭和59年生まれの選手で構成されている。上野監督が「甲子園に出たことで多くの選手と親しくなれました」と話すように、一つの高校のOBだけで占めるのではなく、学校の枠を超えた多くの同年代の選手が59’sには集まった。そんな実績十分の選手たちが、上野監督を中心に固い団結力で一丸となり、今大会の躍進につながった。東京ドームでも大舞台慣れした選手たちの戦いぶりが今から実に楽しみだ。
▲固い絆で結ばれたオールスター軍団が、初のタイトル奪取へ突き進む