8月4日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7
F s (立川市) 2 0 0 2 0 0 0 4
JAいちかわ (市川市) 0 0 1 0 0 0 0 1



優勝戦実況

 27回目を迎えたアークカップで、今回の優勝戦は意外にも大会史上初となる優勝経験チーム同士による対戦となった。


▲Fsは、大黒柱・高桑に先発マウンドを託す
 3年ぶり3度目の優勝を目指すお馴染みの名門・Fsは、現在チームの大きな変換機を迎えている。どのチームにも存在し得ることだが、近年は部員が年齢を重ねるごとに社会的環境が大きく変化。多数の部員を擁していたFsも例外でなく、今大会はこれまででは考えられなかった部員集めに奔走。ようやく人数確保に目処が立ち始めたのは、大会も中盤戦を迎えていた4回戦くらいからだった。片倉監督は「人数集めに苦労したのは久方ぶりです。うちはこれまで部員が多くいた方だと思うので、とても勉強になりました」と振り返る。しかし部員集めに目処が立てばあとはもう怖いものはない。もともと実績・実力ともに大会屈指の戦力を誇るだけに、今回の優勝戦進出も必然の結果ともいえるだろう。


 もう一方のJAいちかわは、昨年に続く2年連続優勝を目指すディフェンディングチャンピオン。エース平澤をしぶとい打線が援護し勝ち上がり、優勝戦では劇的なサヨナラ勝ちで頂点に立った昨年の活躍は、まだまだ記憶に新しいところ。柳井監督も「あくまで昨年は昨年です。2年連続優勝してこそ真の王者になんです」と、一度目標を達成し燃え尽き症候群も心配されたが、まだまだその闘志は衰えを知らない。また、昨年に引き続き今回の優勝戦にも多くの応援団が詰めかけてくれた。それだけに今年も是が非とも勝ちたいところだろう。
▲今年も大応援団がドームのスタンドを埋めた


 昼間に行われたプロ野球・伝統の巨人-阪神戦。注目の菅野 対 藤波のルーキー初対決の余韻が冷めやらぬ中、2013年8月4日、午後7時50分。大観衆。東京ドーム。Fs(立川市)とJAいちかわ(市川市)の決勝戦が始まった。


▲絶好調・3番七島のタイムリーでFsが先制
 試合は初回からいきなり動く。

 1回の表、Fsは先頭の1番・十川が甘く入った初球を鮮やかに右中間に持っていく3塁打を放ち、無死3塁といきなり先制のチャンスを作る。続く2番・大元が四球を選ぶと、すかさず2塁に走り、無死2・3塁とチャンスを広げる。ここで迎えた3番・七島が、アウトコースのスライダーをセンターへ弾き返し2者が生還。Fsが開始早々2-0とし、試合の主導権を握った。

 先制されたJAいちかわの反撃は3回。ここまでFsのエース高桑の前に走者を出せない状況が続いていたが、この回先頭の7番・染谷が初球を逆方向のレフト前に弾き返し出塁。続く8番・國枝が四球を選び1・2塁とした後、9番・山崎が初球できっちり送り、1死2・3塁と絶好の同点の好機を作る。ここで迎えた1番・三山のとき、JAいちかわはエンドランを敢行。三山はカウント1-3からの5球目をきっちりファースト前に転がし、3塁走者の染谷がホームイン。JAいちかわが1点を返す。
▲1番三山がエンドランを決め、1点差とする


▲ベテラン佐藤が“神業スライディング”で生還
 しかし、1点差に追い上げられたFsは直後の4回、すぐさま突き放す。この回先頭の4番・佐藤がストレートの四球で出塁すると、続く5番・廣田が初球で送りバントを決め1死2塁とする。続く6番・原島が四球で出塁し1・2塁とすると、ここで迎えた7番・加藤がライト前ヒットを放ち、2塁走者の佐藤が果敢に本塁を突く。タイミングは不利な状況だったが、佐藤がタッチをうまく交わす好スライディングで生還し、この回まず1点。さらに続いた1死1・3塁のチャンスに、8番・小宮がきっちりエンドランを決め、この回2点目。4-1とリードを広げた。

 その後はFsの大黒柱の高桑が好投。低めをうまく突く投球でJAいちかわ打線に的を絞らせない。このまま試合終了かとも思われたが、JAいちかわは6回裏に反撃のチャンスを作る。

 3点差を追うこの回、先頭の9番・山崎が初球を3塁線にセーフティバントを決め無死から走者を出すと、続く1番・三山がストレートの四球を選び1・2塁とする。さらに2番・木南が初球をきっちり送り2・3塁に走者を進める。ここで迎えた3番・今野は投手ゴロで2死となるが、4番・安達が死球で2死ながら満塁とする。迎えるは強打の5番・藤代。一打同点、ホームランなら逆転の場面だったが、しかし期待された藤代はフルカウントからの7球目を見逃し三振に倒れ、惜しい同点の好機を逃す。
▲1死2・3塁の絶好機で、まさかの無得点


▲3度目の正直で、悲願の東京ドーム初V



▲健闘むなしく、連覇の偉業は成らなかった
 Fsは最終回に2番手・奈良を送り込み、その奈良がきっちり3人でJAいちかわ打線を抑え試合終了。Fsが3年ぶり3回目の優勝を果たすとともに、長年の悲願だった東京ドームでの優勝が実現した。

 試合終了のあいさつが終わると、すぐさまFsのベンチ前では監督、選手などの歓喜の胴上げが次々に行われ、アークカップで初めて東京ドームで勝利した喜びをいつまでも爆発させていた。

 一方のJAいちかわは、2年連続優勝を目指したが及ばず、今年はつめかけた大応援団に報いることはできなかった。しかし2年連続して決勝戦進出、東京ドームまで進んだことは優勝に値する素晴らしい活躍だったと言えるだろう。

 その後、記念撮影が行われ熱戦が続いた第27回大会の幕が閉じた。すべてのスケジュールが終了し静かになったグラウンドでは、両チームのナインがそれぞれ記念撮影をするなど、いつまでも名残惜しそうに東京ドームの大舞台を堪能していた。