ここまで3人の投手が先発したが、長く強豪のマウンドを支えるエース・高桑が絶対的な存在。今大会は勝負どころの4回戦からすべての試合で先発。中でも、準々決勝で対戦した優勝候補のCircus戦では、相手エースの好投手・中須と息詰まる投げ合いを展開。初回に挙げたスミ1の1点を最後まで守りきるなど、エースとしての貫録を十分に示した。持ち味である130キロ後半のストレートの威力は今も健在で、その堂々としたマウンドさばきは、まさに「大黒柱」と呼ぶにふさわしい存在だ。また、エース高桑不在の中、初戦の昨年準優勝の59’sとの大一番を1失点で好投した岩崎も楽しみな投手。その59’s戦では、低めを丁寧に突く投球で強力打線を封じ、チームに今大会を勝ち抜く勢いを与えた。
▲安定感抜群のエース高桑(左)と初戦の大一番での好投が光った岩崎


 打順に関係なく、ある程度は力勝負が出来るたくましさがある。なかでも際立つのが、主に5番を打つ廣田の連日にわたる活躍。とくに激闘となった初戦の59’s戦は、1点ビハインドの最終回に起死回生の同点タイムリーを放ち、チームを崖っぷちから救った。また、その後の試合でも何度もチームの窮地に一本を放つなど頼れる強打者だ。さらに主に6番を打つ小宮も、3・4回戦で2試合連続となる決勝打を放つなど、今大会のラッキーボーイ的な存在となっている。この好調な5・6番の前を打つ攻撃陣は、全国的に有名な日大三コンビの1番の都築と主砲の原島、広角打法が得意な3番・佐藤、走攻守3拍子揃い主将としてチームを引っ張る大元ら、これまで何度も大会を沸かせたお馴染みの強打者がズラリ揃い強力だ。
▲今夏の活躍が際立つムードメーカー・廣田(左)とラッキーボーイ・小宮


 これまで優勝2回を誇る名門も、今季はメンバー集めに苦心し、ベストオーダーが組める試合が少なかった。そんな中、初戦の好カードと言われた59’s戦を最終回に追いつき、抽選勝ちするとその後は息を吹き返し、しぶとい野球で決勝まで勝ち上がってきたところはさすがの一言。また、今季は長くチームを引っ張ってきた山崎総監督が不在。これまで様々な大会で優勝してきたFsだが、東京ドームで行われたアークカップの優勝戦ではここまで2連敗中。それだけに、山崎総監督は日頃から、「アークの東京ドームで勝ってこそ王者です」と言い続けてきた。山崎総監督が決勝戦当日に東京ドームに来られるかは微妙だが、ナインは指揮官に吉報を届けたいと例年以上に今大会の優勝にかけている。
▲長年の悲願となっている東京ドームでのアークカップ優勝を目指す