昨年は大会MVPを獲得した平澤という絶対的な存在がいたが、今年は複数の投手をうまく使って勝ち進んできた。中でも、178cm右腕・古居と170cm左腕・坂下。この2枚看板がチームを支える。2人とも昨年の優勝メンバーにも名を連ねており、今季も春先から経験を重ね、今大会でもここまで交互に先発し、主に2人でつないで勝ち上がってきた。背番号18をつける古居は、キレのあるストレートとチェンジアップを巧みに操り、狙って三振を奪えるのが特徴。背番号14の坂下は、力強い直球を武器とする左の本格派。直球もさることながら、多彩な変化球で打者に的を絞らせない。この左右の両投手はともに先発、抑えと両方をこなせるだけに、東京ドームでも場面によって柔軟な投手リレーが見られそうだ。
▲今大会のマウンドを守り続ける左右の両エース(左から古居、坂下)


 昨年は優勝したとはいえ、やや物足りなさも否めなかったのが攻撃力。しかし今年は、春先からその課題に真摯に取り組み劇的に変化した。各打者が強い打球、低い打球を打つことを意識。その結果として、外野の間を鋭く抜ける打球が増え大幅な得点力アップにつながった。1・2番を務める三山、木南は昨年からの不動のコンビ。いずれも俊足で出塁率が高く、相手バッテリーにとっては厄介な存在だ。今季から新加入の3番・今野は、準決勝で4安打の固め打ちを見せるなど勝負強い。昨年も中軸を務めた4番の安達は、左右広角に自在に打ち分けられる好打者。出塁率が高く、ここ一番で実に頼りになる。また、新人の捕手・官野は、打っても下位ながら豪快なスイングで長打を連発するチーム屈指の長距離砲だ。
▲高い出塁率を誇る俊足巧打の1・2番コンビ(左から三山、木南)


 ここぞの場面での集中力の高さが際立つ。今大会のここまでの5試合は、終盤の3イニングで大量得点を挙げるケースが目立つ。ダメ押しもあれば準決勝の大逆転勝利もあった。柳井監督は、「もちろん大前提として、うちの野球は投手を中心に守り勝つ野球というのはあるんですが、そこへ今年は攻撃面の確率をアップさせるために、とにかく低い打球、逆方向への強い打球を打つことを重点的に取り組んできました」と話す。その結果、各打者の意識が変わり、昨年よりパワーアップに成功。勢いに乗ると手がつけられない打線となった。また、JAいちかわといえば、昨年東京ドームに草野球としては異例の1000人近くの大応援団が集結した。2年連続で戻ってきた大舞台。今年も大応援団とともに有終の美を飾ることが出来るかに注目だ。
▲スタンドの大声援を味方に、昨年に続くアークカップ連覇を成し遂げたい