川島・結城の両技巧派右腕の2枚看板が今大会のFsのマウンドを守る。中でも大会の勝負どころである準々決勝から登板し、2試合連続完封を達成した川島投手の好投が印象深い。 準々決勝の四ッ葉倶楽部(さいたま市)、準決勝のレジェンド(柏市)と関東でも評判の強打のチームを相手に、得意の縦に割れるカーブとコーナーへ絶妙な緩急を使い見事に抑えきった投球は特筆ものだ。「強打のチームには川島で行こうと前もって決めていました」と山崎監督が語る通り、力で押すタイプより交わすタイプの投球がピタリと当たった2試合だった。一方、5回戦までチームを牽引した結城投手も川島投手と同様、バットで空を切らせるタイプではなく緩急をうまく使った技巧派だ。打者の心理を突いた考える投球を駆使し、追い込んだあとのカーブ、スライダーの切れ味は天下一品。試合経験も豊富で頼りになる投手だ。また今大会での登板はまだないが、各種大会で活躍しているチーム一の速球派・鈴木投手も控えており層の厚い投手陣を誇る。
▲緩急を使ったピッチングで強豪を連続完封した川島投手
 2番が予想される佐々木選手に注目したい。バットのヘッドがよく回る鋭いスイングに加えミートもうまく、今大会はここまで高い出塁率でチームを引っ張ってきた。選球眼も抜群でボール球に簡単に手を出さない落ち着いた打撃が魅力だ。相手チームにとっては打ち取りづらく嫌な存在だろう。また1番の佐藤選手は俊足好打で思い切りの良い打撃が信条の切り込み隊長。トップバッターでありながらチーム1・2を争うパワーで一発長打の魅力を秘めている。この2人の好打者に続くのが強打の3番・高橋選手。今季は打撃のみならずチームの盗塁王として足でも貢献。準々決勝、準決勝の2試合はノーヒットに終わったが侮れない打者だ。そしてチーム一のスラッガー片倉選手が4番にどっしりと座る。立川市bPの強打者と評判で打席時の雰囲気は風格すら漂う。準々決勝の四ッ葉倶楽部戦では貴重な1点となる先制打を初回に放っており、チャンスに無類の勝負強さも誇る。東京ドームでもこの片倉選手の前にいかに走者を出せるかがFs優勝への一つのポイントになりそうだ。
▲ドームでの一発に期待がかかる主砲・片倉選手
 「まさか優勝戦へ行けるなんて思いませんでした」と山崎監督が振り返る。たしかに目を見張るような強打で豪快に勝ち上がるような印象は少ないかもしれない。しかしそれでもFsがここまで勝ち残ってきた最大の要因は、何といっても安定感抜群の守りの堅さだろう。特に内野に守備は鉄壁で、市民野球は本来当日の出欠状況によって守りのレベルも大幅に変わるのが通常。しかしFsに関しては誰がどのポジションを守ってもまったく違和感が感じられなく、毎回同じメンバーで守っている感じがする守りは見事だ。今大会のFsはこの安定した守りにエース川島投手の力投、好機を粘り強くモノにする打線と攻守にソツがないチームに仕上がった。広い東京ドームで行われる優勝戦では、一段とこの堅守が生きてくるだろう。
▲無欲のチャレンジャー・Fsが栄冠を勝ち取るか