11月30日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7
佐川急便千代田 (品川区) 0 0 0 3 1 0 0 4
佐川急便千葉 (船橋市) 0 0 0 0 0 0 0 0


優勝戦実況


▲千代田先発・市川投手



▲千葉先発・櫻井投手
 佐川千葉の最終打者・本間選手の放った打球が力なくピッチャーの前に転がった。その瞬間3塁ベンチから一斉にマウンドめがけて佐川千代田ナインが飛び出す。まだファーストミットにボールが収まっているか定かではないうちにマウンド上で歓喜の輪ができた。究極のライバル対決として注目された今秋の優勝戦。互いに意識し合うチーム同士だっただけに、勝利した千代田ナインの表情がひと際輝いて見えた。
 11月30日(日)正午、両軍応援団・関係者・一般草野球ファンなど多くの観客が見守る中、優勝戦の火ぶたは切られた。

 試合は初回から佐川千代田が果敢に仕掛ける。1回の表、先頭の高橋(裕)選手がセンター前ヒットで出塁。手堅くバントで2塁へ進めると、続く3番東選手の時、2塁走者・高橋(裕)選手が俊足を飛ばし3盗を決め、いきなり1死3塁の先制のチャンスをつかむ。この好機に東選手は強い当たりのショートゴロ。3塁走者高橋(裕)選手がスタート良く本塁を突いたが、佐川千葉ショート・伊藤選手の好返球の前に本塁寸前でタッチアウト。先制の惜しいチャンスを逃がす。

 ピンチを切り抜けた佐川千葉は2回、2死から6番本間選手がファールで粘った末に四球を選び出塁。しかし後続が佐川千代田この日の先発・市川投手に抑えられ、初めて出した走者を生かせない。打順が一回りした佐川千代田は3回、2死から1番の高橋(裕)選手が四球で出塁。ここで続く2番・高橋(勇)選手が3塁前に絶妙なセーフティバントを転がす。これが見事に成功しチャンスが広がったと思われたが、1塁走者の動きをよく見ていた佐川千葉のサード増田選手の好判断で、2塁をオーバーランしていた走者を2塁上で刺しピンチを切り抜ける。

 3回まで互いに一進一退の攻防を繰り広げる両チーム。佐川千代田・市川、佐川千葉・櫻井の両先発の好投でこのまま0行進が続くと思われたこの優勝戦に、突如としてクライマックスが訪れる。4回の表、佐川千代田は1死から4番片岡選手がサードベースに打球が当たるラッキーな安打で出塁。続く5番竹田選手の時、佐川千代田はエンドランを敢行。打球はボテボテのファーストゴロだったが、しかしこの回から登板した佐川千葉・宇田川投手のベースカバーが一瞬遅れ、1・2塁ともオールセーフとなる。無死1・2塁とこの試合最大のチャンスを迎えた佐川千代田は、この好機に6番山本選手がレフトセンター間を深々と破る痛烈な一撃を放つ。2人の走者が相次いで還りまず2点。さらに中継プレーがもたつく間に打った山本選手も一気に本塁に還り、佐川千代田が待望の先取点をいきなり3点を奪う形で先制した。

▲初回、千代田本塁突くもタッチアウト


▲ピンチを切り抜け引き上げる千葉ナイン


▲4回、山本選手が待望の先制弾を放つ


▲5回、高橋(勇)選手のタイムリーで追加点


▲最後はエース木本投手が締め、試合終了
 さらに佐川千代田は5回、1死から1番高橋(裕)選手が右中間を真っ二つに割る3塁打で出塁。ここで佐川千葉はたまらず3番手の赤土投手にスイッチ。しかし迎えた2番高橋(勇)選手が、赤土投手のかわりっぱなの初球を上手くたたきつけ、この打球がファーストの頭を超えライト前に転がる間に3塁走者が還り、貴重な追加点を挙げる。

 一方佐川千葉も4回に2死1・2塁、5回には9番池本選手がこの試合唯一の安打となる気迫の内野安打で出塁するが、いずれも後続を佐川千代田の投手陣に抑え込まれ無得点に終わる。佐川千葉はさらに6回の1・2塁のピンチを何とかしのぎ切り、最後の攻撃に望みを託したが、5回から登板した佐川千代田のエース木本投手の気迫の投球の前に最終回も三者凡退に打ち取られ万事休す。ライバル同士の優勝戦は佐川千代田に軍配が上がりその幕を閉じた。

 この試合の勝敗の分かれ目となったのが、4回からの佐川千葉の継投策。3回まで無失点の先発・櫻井投手から思い切って右腕の宇田川投手にバトンタッチしたが、これが結果的に裏目に出た形となった。がしかし、この試合のそれまでの櫻井投手の投球内容や今大会の必勝パターンを大事にした佐川千葉の作戦は責められないだろう。

 また、ここまで無失点で乗り切ってきた佐川千代田の投手陣がこの日も今大会の戦い同様、まったく危なげない投球を披露。市川・木本両投手ともストレートに威力があり、変化球のコントロールも良く、佐川千葉打線をわずか内野安打の1本に抑える完璧な内容だった。いずれにしても佐川千代田の初優勝は初戦から安定した投球を見せた鉄壁投手陣の好投が大きな原動力と言っていいだろう。

▲優勝の瞬間、マウンドにかけ寄るナイン


▲佐川千代田田中監督、歓喜の胴上げ