MAX130`の絶対的なエース右腕・木本投手がマウンドに立ちはだかる。しなやかな腕の振りから球威十分な速球をビシビシ投げ込んでくる。今大会は速球に加えスライダーにも磨きがかかった投球を披露。ここまで対戦したチームの中で、この緩急織り交ぜた木本投手の球をジャストミートした選手は皆無に近いと言っていいだろう。それほど圧倒的に押さえ込んでいる今大会の木本投手の投球内容だ。佐川急便千代田・強力2枚投手陣のもう一人の市川投手も木本投手に負けず劣らずの好投手だ。サイドからこれまたMAX130`は裕に越える快速球を投げ、変化球の切れも良く、ここぞという時に三振が取れるのが強みだ。東芝時代、プロからも声がかかった逸材でその高い潜在能力は見るべきものがある。この圧倒的な力を擁する両右腕の好投で、今大会佐川急便千代田はここまでの7試合、何とまだ相手に1点も与えていない。この投手力はまさに無敵と呼ぶにふさわしい安定感だ。
▲今大会ここまで無失点を誇る千代田強力投手陣
木本投手(左)、市川投手(右)
 「佐川急便」という名のイメージからどうしても強打を連想してしまうが、今大会の佐川急便千代田の戦い方は少し異なる。走者を出したら走塁・バントなどで大事に扱い、何とか得点に結びつけるといった形が多い。その起点となるのが左右に打ち分けられるセンスと俊足を併せ持つ核弾頭の高橋裕選手。今大会はその高い出塁率で幾多の得点の起点を作った抜群のリードオフマンだ。続く2番の俊足・高橋勇選手と絡む攻撃は相手に与えるプレッシャーは十分だ。このしぶとい1・2番コンビを片岡・東・竹田選手らで構成するクリーンアップで返すのが必勝パターン。中でも主将を務める片岡選手は先日の準決勝の蠍戦で、好投手・四ノ宮投手から西武ドームを引き寄せる貴重な決勝本塁打を放つなど初戦から勝負強い打撃でチームを牽引。東選手も準々決勝フリーバーズ戦で老獪な投球で好投していた国山投手から勝利を決めるタイムリーを放つなどチャンスに滅法強い打撃が光る強打者だ。
▲千代田打線を牽引するリードオフマン・高橋裕選手
 まさに難攻不落という言葉がピタリ当てはまる木本・市川の両投手。この安定感抜群な強力投手陣の存在が対戦チームにとって大きなプレッシャーになる。具体的には、どんな相手にも1点取られたら負けと思わせるだけの雰囲気を作れるところにこの佐川急便千代田の強さを感じる。またこの強さからは意外に思われるかもしれないが、佐川急便千代田のレギュラー選手はさほど体格に恵まれた選手ばかりではない。しかし1番から9番まで全選手パンチ力十分な打撃を見せる。その理由は各選手の迫力のある腰周りを見れば一目瞭然で、下半身がたくましい選手がゴロゴロひしめいている。今大会は投手力ばかりがクローズアップされているが、この辺りにも佐川急便千代田の強さの秘密があるのかもしれない。
▲念願のアークカップ制覇へ向け迷いは無い