●中須 健太郎(ピエロ)   ●松永 正人(習志野バブルス)   ●福田 智行(TNCスパークス)



 春の訪れと共に近づく草野球人の夢舞台。開幕まで2ヶ月を切り、決戦の時はもうそこまで迫っている。そこで今日からは、過去の大会で活躍した選手・監督を中心に現在の近況、今大会に賭ける思い、意気込みなどを様々な角度から探ってみた。


― お久しぶりです。
福田 こんにちは、ご無沙汰しています。
― このオフはどのように過ごされていたのですか?
福田 今年のオフはまず体を休めました。とりあえず休もうと。でも少ししたら、やはり徐々にですが体を動かし始めてしまいましたね。
― 具体的にはどのような練習(トレーニング)をされて
  いたのですか?
福田 そうですね。体力作りと言うか、主に下半身を強化するためのトレーニングですね。具体的にはやはりランニングが主です。最低5キロ以上10キロ以内のコースを2日に1回は走るようにしていました。仕事が総務部で室内勤務なので、よけいに体を動かしていないとなまってしまうもので(笑)
― 福田さんと野球の出会いはいつ頃ですか?
福田 小学校1年生のときに、父親がコーチをしている軟式野球チームにいつの間にか入っていまして、そこからですかね。
― お父さんは名選手で、甲子園にも出ていると伺っていますが。
福田 はい、天理高校で出場しています。もちろん自分はまったく知らないのですが、4番を打っていたと聞いています。
― すごいですね。ではご自身の高校時代はどうでしたか?
福田 ベイスターズの三浦投手の母校でもあるのですが、奈良の高田商業と言う学校で投手をやっていました。おかげさまで1年生の時からベンチには入れていただいてはいたのですが、エース番号をもらったのは2年生の秋からです。その2年の秋に、県大会で優勝して近畿大会に出場しベスト8に入ったのが最高の成績でした。
― 秋の近畿大会でベスト8と言うことは、センバツ出場の候補に挙がっていたのではないですか?
福田 そうです。有力候補といわれていました。マスコミの方も発表が近くなるにつれて学校に多く来ていただきましたし、2月1日の出場校発表の日を毎日待ちわびていました。
― それで結果は?
福田 残念ながら最終的には補欠1位校でした。取材も多く受けていたので行けると思っていたのですが。その日は部員全員で号泣しました。あの日のことは今でも忘れない鮮烈な思い出として残っていますね。
― 大学でも投手をされていたのですか?
福田 はい。一応4年間投手をさせてもらいました。けど亜細亜大学のレベルが大変高くて、ベンチにはあまり入れませんでした。自分が1年のときに3年生で巨人の木佐貫さんや広島の永川さんたちがいましたので、ほんとにハイレベルでびっくりしました。ほとんど裏方役に回っていました。けど、その裏方の一つであるバッティング投手をよくやっていたおかげで肩が強くなり、怪我をしなくなりましたね。そういった意味では4年間は無駄ではなかったと思っています。
― 話は変わりますが、あの独特な投球フォームはいつからなのですか?
福田 今の投球フォームは大学からです。高校まではオーバーフォームでもう少しきれいなフォームでした。大学時代の練習中に、いかに球筋を見にくくするかを考えながら投げていたら今のようになりました。
― その躍動感のある投球を維持するのに、何か心がけていることはありますか?
福田 まずは怪我をしたら野球が出来ないので、とりあえず怪我をしないための体力作りを常にしています。また専門の本を買ってきて、試合前の調整方法やチューブを使ったトレーニング方法、筋肉を鍛える方法などを勉強しています。あと、投げた後のケアはアイシングなどをして必ずするようにしていますね。どれかが欠けても今の投球は出来ないと思いますので、どれも重要で今後も続けていきたいです。
― さて、昨年の秋の大会を振り返ってください。
福田 決勝までは自分の投球が出来て順調に行けたと思うのですが、最後の最後の決勝戦でチームに迷惑をかけてしまいました。とくに佐川千葉の4番に打たれて気持ちが切れてしまいましたね。相手の投手も良かったので1、2点の試合になると思っていたので、あそこまで崩れてしまって本当に申し訳なく思っています。
― 西武ドームのマウンドはどうでしたか?
福田 西武ドームのマウンドは初めてでしたがすごく投げやすかったです。整備も行き届いていたと思いましたし、快適な空間でした。いい経験になりましたね。
― 対戦が終わって、相手の王者・佐川千葉の印象は
  どうでしたか?
福田 佐川さんは足をうまく絡ませてソツがないというか、攻撃がうまいという点が一番印象に残りました。また、野球を良く知っているところなどはさすがだなとも思いました。1点先にとってもらったので何とか逃げ切ろう思ったのですが、やはり甘くなかったですね。
― 昨年の好投で今大会は追われる立場になると思われますが、そのあたりはいかがですか?
福田 目標にされるのはうれしいことですが、それに満足するわけにもいきません。まだまだ勉強しなくていけない面も多いと思いますので、いつまでもチャレンジャー精神を持って試合に臨みたいですね。
― 最後に、ズバリこの春の目標は?
福田 秋に獲れなかったものを取り返すのみです。東京ドームのマウンドに必ず立って見せますよ。
― 大会での健闘を期待しています。ありがとうございました。

<PROFILE>
TNCスパークス・福田 智行 ふくだ・ともゆき●1982年11月20日生まれ 24歳、奈良県出身。176a70`、左投左打。小学校1年生から、父親がコーチをしている少年野球チームに入り野球を始め、すぐさま投手として活躍。中学時代までは軟式野球でプレー。高田商業に入学後、1年生時からベンチ入りし、2年秋からエースとして活躍。その2年秋は奈良県大会で優勝し、春のセンバツ出場が懸かる近畿大会に出場。初戦を突破し出場有力校として注目されるが、結果は補欠校。卒業後、亜細亜大学に進み4年間投手を務めたあとは、軟式に転向。クラブチームのTNCスパークスに在籍し、昨年は秋のアークカップで毎試合のように好投を見せ、見事準優勝投手に輝いた。